僕が詐欺に遭った話をしよう。
ちょうど僕が大学の時だった。因みに僕はあまりだまされた事はない。
非常に警戒心が強い男だからだ。

その手口が今思っても非常に凄い!
今から15年前の話なのだが説明しよう。

因みにこれは、おそらく引っかかる奴がいる為ここに書いてある事を実行するのを固く禁ずる。


あれは、僕が都内の上野駅を歩っている時の事だった。
僕は当時ブームのガン黒でチャラ男なイメージだった。
そこに1人のおばさんが話かけてきた。

そのおばさんはやっと条件に会う人を見つけたんで話かけました。お話だけ聞いてください。

とだけ言ってきた。
僕は、忙しいから何の用ですか?と言った。
そしたらそのおばさんはある財閥の娘に頼まれて条件の男を探してる。あなたはその条件に当てはまる。

と言ってきた。僕はそれでもどーせなんかの詐欺なんだろ?と言って立ち去ろうとした。
しかし、そのおばさんはやけにくいさがった。
なんでもその財閥の方から頼まれてどうしても僕しか考えられない。と言うのだ。
僕はちょうど、友達と遊びに行かなければならずまた今度と断ったがそのおばさんがやけに喰いさがるのだ。

どうしても僕ではないとダメで一度だけ、話を聞いてほしい。その代わり一万円を手間賃でくれる。
と言ってきた。ちょうど貧乏大学生だった僕は、一万円というお金につられ喫茶店で話を聞くことにした。

しかも、僕は前金でくださいとその場で一万円を受け取った。
今にして思えばこれが手なのであるが一万円貰った僕はタダで一万円貰ったと少し嬉しくなった。
そして喫茶店に移動し、そのおばさんの話を聞いた。まず、その財閥の話を聞いた。
そうすると長々とその財閥が日本でどれだけ有名なものなのか説明してきた。
僕は、もう早く帰りたかったので、財閥はいいから何が目的か教えてくれ!
と言った。
そしたらそのおばさんは、そこの財閥の娘が性行為が苦手だから、相手をして欲しいと言ってきた。
僕はその話を聞いてメチャクチャ嘘くせーと思った。
何故しかも、俺なのか聞いてみた。俺じゃあなくても条件のいいやつはたくさんいるはずだ。だが、聞いたらその財閥の娘が俺の容姿がタイプと一致すると言ってきた。
でも、僕は断った。なんか面倒くさい事に巻き込まれるのが嫌だからだ。
そしたら、謝礼に10万円だす。と言ってきた。そこでまずグッときた。大学生だった俺は金がなくその金額が本当に貰えそうなリアルな金額なのだ。
もし、これが100万円とかなら絶対やらないはずだ。
しかも、信用する条件がまた一つ上がったのがその娘の写真を見せられた。
これが超可愛かったりしたら絶対嘘だ!とか思う。風俗のパネル詐欺で散々騙されてるからだ。

しかし、その娘は誰が見ても普通の容姿だった。派手でなく地味で本当に男性経験が少なそうなのだ。
僕はしかし、それでも最初に渡された一万円だけもらえればそれでいいと思い帰ろうとした。

その時そのおばさんの携帯が鳴った。そして、その財閥のもう一人が会いに来るというのだ。僕は面倒くさくなる前に逃げようと思ったら、ちょうどきた。

今となれば、タイミングよすぎる話なのだが、そこには、スーツを着たいかにも出来る男みたいな奴がいた。

その男は僕にしっかりと謝礼はするから是非お願いしたいと言ってきた。

この時名刺、スーツ、言葉遣い。この3点セットがくると人は信用してしまうのである。

僕はわかりました。じゃあやりますよ。と伝えた。そしたら集合場所と会う時間を指定された。
今日の午後8時に渋谷の〜にきてくださいとの事でした。

そこからが詐欺の仕事です。僕は引っかかりました。
そのスーツの男が申し訳ないですが5万円預からせて頂きます。
と言ってきた。俺は全く意味がわからなかったのでなぜ???と聞いたら
その男はもし、あなたが待ち合わせにこなかったら私は非常に財閥の娘の責任者に怒られます。あなたの事は信用してるのですが預からせて下さい。そうすれば絶対にあなたは来るでしょう。


今になって考えれば一万円でもいいはずだが何故かその理屈に異様に納得した。確かに僕が逃げない方法はそれしかないな!と思った。それで、僕は5万円を彼に渡した。

その後は皆様のご想像どおり2度とかれらに会う事はなかった。

では、猜疑心でいっぱいのこの俺が何故引っかかったのか順番に説明していきたい。

まず、最初に一万円を渡された事だ。
人はなんでもそうだが何かを貰えばお返ししなきゃいけないという事が頭に働く。それがまず、第1のポイントだ。

もう一つ、その財閥の娘や、財閥の資料など本当に存在するもののようにもっていた。あれも、嘘くさいと思っててもジャブのように効いてくる。

そして、スーツの男だ。あまりにもビシッとしてると、こっちがかしこまってしまう。スーツは男の武器というのは本当である。

そして、こちらがその仕事を受けると決めたら後から何を言おうが簡単に承諾してしまうのである。
しかし、僕はこの詐欺を経験し、恐らくほとんどの人が引っかかるのではないかと思った。

よくニュースなどで詐欺グループ逮捕などかなりの騙された話を聞くがこれだけクオリティの高い話だと、ほとんどが防ぐのは無理だと思う。

僕は彼らを別に恨んではないが彼らのその心理的ツボのつき方に変な意味で感動した。

営業やってる僕にとってこの事は非常に勉強になった。
人を騙すには、最大の演出が必要なのである。